空を拝んで

星「いいのか、追わなくて」 神「………」 俺は今はもう見えなくなった 小さな背中を追った 何処にいるかなんて知らない ただ走りつづけた 傘も差さずに 遠くに小さな人影が見えた 俺たちが出会った場所で あのときと同じように 底のない闇色をした瞳で 空を眺めていた 神「」 『………』 振り向きさえしない 神「傘差さないと風邪引くよ?」 『…神威も差してないでしょ』 神「見てないのによくわかったね」 『………』 また雨の音が あたりに響き渡る 神「親殺し」 小さな背中がビクリと反応する 神「俺は出来なかったよ、返り討ちくらった。まぁ片腕とっただけよかったようなもんだけどね」 『親殺ししたって得るものなんて何もない。ただ苦しいだけ』 神「俺は親なんていらない」 『神威はそうかもしれない…けど私にとっては大切な人たちなの! 親戚も友達もいない私と一緒にいてくれた。そりゃ、親だからってのもあるけど…』 神「今は俺がいるだろ?だからもう忘れちゃいなよ」 『………』 神「…も同じだ。家族だなんだに囚われてる。まぁたとえ弱かろうと俺が護るからいいけど」 『………』 空を見つめていた瞳を俺に向ける 『神威に護られるほど私は弱くない』 神「そんな口叩けるんならいいか。ほら、帰るよ」 そういってに背を向け歩き出した

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