陰っていく

ほんとのことを言えば 私自身もあまり覚えてない けど かなりの人数がいた辰羅族 それをほとんど排除したのは両親と 私 私が戦場に出向いたとき いち早く気づいた敵が向かってきた だけど 私に届くことなく 肉塊と化した 当たり前 相手は雑魚だったから でも 血を見ると 身体が疼いた もっともっと 殺したい 殺人衝動に駆られた 『…私の記憶はここまで。あとは覚えてない。 気づいたときには二人とも死んでた……』 星「………」 『でも、ほんの少しだけ聞こえたんだ… 誰かが私を呼ぶ声が…』 神「…それが親だ、と?」 私は無言で頷いた 神「そっか」 そう言ってまるで子供をあやすように ポンポンと私の頭を撫でた 私は両親が大好きで 私が殺したと思うと 自分がいやになる 夜兎の古い習わし “親殺し” したかったわけじゃない でも理由はどうあれ親を殺したことにかわりはない 神「親殺しね」 神威はそう呟いた 笑いながら 星「お前とは違うぞ。は殺したくて殺したわけじゃない」 神「そんなことわかってるよ。俺が出来なかったことをは成し遂げたんだ」 その言葉に反応する 『それ…どういう事?』 神「そのままの意味だよ」 そのまま つまり神威もやったということ “親殺し”を 意図的に 無意識のうちに 私は神威から距離をおいていた 何故親殺しをするのか 私にはわからなかった そのまま走ってその場を去った 神威ならやりかねない それでも信じたくなかった

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