Prayer

自分と変わらないくらいの少年に 私は殺されるのか もうこれ以上逃げることは出来ない 殺されるしか道はないのだ しかし少年はその場から動こうとしない その視線はまっすぐに私自身に注がれていた それからしばらくして 漸く周りを気にしながらも口を開いた 「隠し部屋はここだけかい?」 私はコクコクと頷くことしかできなかった。 下手をすれば殺される 生き残れるのなら できるだけ相手の神経を逆撫でしないようにしなければならない というより怖くて声が出なかっただけだ すぅっと目が細められるような気配がした 自分はもうおわりだ。 そう感じたのだが 近くに来るとそっと小さな声で話しかけてきた 「驚かせてごめん。でも、俺の言うことを聞いてくれる?」 私はまた黙って頷いた。 「今君は狙われてる。それに、この部屋の存在も知られてるんだ。ここにいても助からない」 目の前が真っ暗になったような気がした この部屋がばれているならもう私に逃げる術はないのだ。 ある意味、死刑宣告をされた気分だった。 「そんな顔しないで。俺が、君を守るから」 しかし少年はそういった まだ子どもだというのに 私の両親さえも死んでるというのに そんななかで生きていられるわけがない 誰かを守りながら戦うなんて 「な、なにを…」 何を言ってるんだ そう言おうとしたら声が震えて先が続かない 「怖がらないで。大丈夫、痛い思いさせちゃうけど命の保証はするよ」 傘の持つ手に力が入ったのが見て取れた 「ま、待ってよ!どうせ私を狙ってきたんでしょ?なんで助けようとするのよ!」 少年は戸惑ったような顔をして言った 「うーん…正直自分でもよくわからないんだ。でも助けたいと思った。それじゃだめ?」 「いや、だめってわけじゃないけど……敵なのに変っていうか…」 「じゃあ大人しく殺られてくれる?」 「それは…」 もし本当に見逃してくれたとしても恐らくこの先には死しかないだろう ここで少年に殺されても同じだ。 「…別に、ここで死のうが生き延びようが私には生きる術なんてもうないから………。」 そういうと少年はキッと怒ったように言い放った 「死ぬなんて許さない。俺が絶対になんとかする」 「何とかするって!そんなの信じるわけないじゃない!敵なんだかr…」 カチャッ… 冷たい音が部屋に響いた。 音は間違いなく少年が持っていた傘からだ。 そしてそれは今 私に向けられている 「ちょ、待って!まってt」 パンッ 乾いた音が響く 何があった? 硝煙をあげる傘 じわじわとくる痛み 遠のく意識 必ず助けに来るから そう聞こえた気がした

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