Prayer

さて、あれは何年前のことだっただろうか。 大きな争いがあった それがなんの争いだったのか 当時の私には知るよしもなかった 外は大きな音が昼夜鳴り響いていた 私は元々外に出てはいけないと言われていたので 実のところ外の、自分の産まれた星がどんな場所だだたのか知らない しかし今なら何となくわかる気がした その大きな争いがあったとき 私の両親は帰ってくることはなかった 巻き込まれて死んだのだ きっとそうだと私は信じた。 今ならわかる。 なぜ死んだのかを 元々そういう運命だったのだ。 夜兎という種族は。 戦の手は私が住んでいた 私の全てだった家にまで伸びた 扉を蹴破る音 足音は一人だけのものだった 私は親に言われた通りこの家の隠し部屋に籠った 誰かを探しているような気配を感じた ひとつひとつ扉を開けては中を確認し また次の部屋、次の部屋と同じことを続けていた 音は徐々に近づいてきた 息を潜め 敵が行きすぎるのを待った しかし音は行きすぎることなく 部屋の隠し扉の前でピタリと止まったのだ 偶々そこで立ち止まっただけだ この部屋の存在を知っているはずがない ちょっとそこで休憩しているだけだ そうやって自分を落ち着かせた しかし願いが叶うことはなかった 轟音とともに扉だったものが粉塵とともに崩れ去る 現れたのは自分と同じくらいの桃色の髪を結った少年が立っていた

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