ナミダイロ

船内に運ばれてすぐ は治療室へと連れてかれた 数時間後 治療室の扉が開かれ 入ってもいいと医者に言われた 夜兎のせいもあってか傷の治りは早いらしい 神「…」 はやく起きてよ 俺は次の日もその次の日も の傍から離れなかった 阿「団長」 神「やだ」 阿「まだ何も言ってねぇよ」 神「………」 阿「団長まで倒れられたら困るからな。まぁないだろうけどよ」 神「………」 阿「黙ってないでなんか言ったらどうだ」 神「………」 阿伏兎の話し声すらも 耳に入らない ずっとの手を握っていた どれくらい経ったんだろ? 病室は再び静寂に包まれていて 睡魔が襲ってきたときだった ほんの少しだけど握り返してきたような そんな感じがした 神「?」 『だん…ちょ……』 ゆっくりゆっくり開かれていく瞼 けど、一度もこっちを見ようとしなかった まるで俺が見えてないかのように

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