暴走

宇宙船に戻った私を出迎えたのは 血相を変えてこちらに走ってくる阿伏兎だった 『何してんの?』 阿「!今すぐ食堂に行ってくれ!」 『何で?』 阿「団長が暴れてるんだ!」 『……さて、部屋に戻るとするか』 阿「いいからこい!」 襟首をつかまれそのまま引きずられながら食堂へ向かった     ドゴォォォン     グシャッ 食堂では普通聞こえるはずのない破壊音や なんかを潰す音が聞こえてくる ………ここ、食堂だよね? 中からは鉄臭いニオイが広がっている 『…何コレ?』 阿「どうにかして止めてくれよ。お前しかできねえんだからな」 『しーらない!阿伏兎が止めればいいじゃん』 阿「それができねえから頼んでんだろ」 美「さん!助けてください!」 いきなり美音がやってきた 『久しぶりだね。どう?少しは強くなった?』 美「今はそんなこと言ってる暇ありませんよ!」 『はぁ……何人死んだ?』 阿「さぁな。十人近くは死んでんじゃねーの?」 『十人か…結構少ないじゃん』 すると一人の団員が声を上げた 「おいっ!が帰ってきたぞ!」 殆どの団員がこちらを向く 「だ!」 「よかった…」 歓喜の声を上げ 安堵の表情を浮かべた すると神威が振り向いた さっきまで緩んでいた空気が 再び張り詰めた そりゃそうだろう 過去に二回修練場を破壊した二人 この二人が殺り合うんじゃないかと思ったのか 周囲の団員が避難し始めた 静まり返った食堂 先に動いたのは… …神威だった だが、攻撃を仕掛けたわけじゃなかった

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