それから今に至るまでを護ってきたつもりだった。 なんとなく、理解のされ方が違っているとわかっていたが、それについては何も言わなかった。 同じことをもう一度言ったところで何も変わらない気がしたし、 何より恥ずかしかった。 の強さに惹かれていたのに 気づけば自身に惹かれていた。 あの丘に行かなくなってからも に会わないように様子を見に行っていた。 まるでストーカーだなと自分で思った。 連れ戻すチャンスはないだろうか 今のところ急用もないし 今日は江戸の適当なところで宿をとるとするか。 阿武兎には今日は戻らないと伝えた。 すごい呆れた声で妙な真似だけはするなとだけ言われた。 そういえばはどうやって情報を集めていたのだろうか。 ちょっと気になったがいろんなルートがあるんだろう。 ややこしそうだから調べないでおこう。 ぷらぷらと街を歩いていると郊外の方の空がほんの少し明るくなっているように見えた。 ちょうどの家がある方角だ。 何かわからないが胸騒ぎがする。 の身に何かあったのではないか。 急いで外れにある村に向かう 火が上がっていたのは案の定の家だった。 近所に住んでいるお婆さんがの名を叫んでいる。 火消しに何かを訴えているようだった。 返事がないところを見るにはいなかったか それか回避して別のところに逃げたか…。 消火騒ぎに紛れて遠くの方で地面が割るような 低く響く音が聞こえた。 音はあの丘の方角からだ。 が何者かに襲われている。 歴戦の夜兎とはいえ、視界不良に加えこの夜中の襲撃だ。 圧倒的に不利に決まっている。 あの丘へ急ぐ。 一刻も早くの元へ。

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