少し昔の話をしようか。 俺が春雨に入った頃、と出会った頃の話。 鳳仙に弟子入りした時まず最初に会ったのがだ。 自分と同じか、少し上の女の子。 2人は何か言い合いをしていたが鳳仙は早々に立ち去ってしまい 残されたのは俺とだけだった。 鳳仙の側について行こうとしたがそれはに止められた 「今あの人について行っても何もないよ。また明日出直してきな」 「なんでそんな事がわかるの?」 あの頃からは副団長まではいかないものの、団長補佐の仕事をしていたらしい。 「子供の君にはわからない事よ。」 「あんたも俺と変わらない気がするんだけど。ここに居るってことは強いの?」 「さあね。」 素っ気なく答え、もう用はないと言わんばかりに踵を返して立ち去ろうとした。 俺は子供扱いされた事が気に食わなくて 敵が背を向けた今が好機だと思って奇襲をかけた。 何が起こったのか当時の俺はよくわからず 気づいたら組み敷かれていた。 頭の横に大きくひび割れた床との拳があったことは覚えている。 見くびっていた。 自分と同じくらいの齢の女程度に負けるはずはないと慢心していた。 だからといって臨戦態勢で挑んでも今の自分では勝てないと 本能的が察知した。 力の差は歴然だった。 「女だからって甘く見てたんじゃない? 強くなりたくて来たんなら、まずその偏見はよしたほうがいい。死ぬよ。」 真っ直ぐ見つめられているはずなのにどこか別の場所を見ているような そんな無機質な瞳では言った。 服についた砂埃を払うと何事も無かったように去っていった。 後からの病のことを知った。 見えないハンデをものともしない強さ。 に惹かれるのにそんなに時間はかからなかった。 稽古は鳳仙が、他の事はが色々教えてくれた。 の傍にいれば強さの理由がわかるのではないかと思い よっぽどのことがない限りついてまわってはいろんなことを聞いた。 正確な情報を元にしていかに相手を効率よく潰していくか 戦なんて頭で考えるものではないと思っていたが どうにもそういう訳にはいかないらしい。 きっとの頭の中に戦闘を思い浮かべながら動いているのだろう。 自分が何をすべきかもそこから導き出しているのだろう。 「そういえばってなんでいっつも味方の少ない所で戦ってるの?」 いつだったか。 そんなことを聞いたことがある。 「私なんかが主力の近くにいると危ないでしょ。」 今まで敵と勘違いして仲間を何度葬ったことか。 そう話した。 「でも集団から離れてるからだと後ろの敵まで見えないでしょ。なにより機転が利かない。だから奇襲かけられたりするんだよ。」 「まあ、そうだけど…」 だから俺がを護る そういうと不思議そうな顔をしたが 助かる。と言った。

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