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いよいよ脱退の時 とはいえ脱退と言うより逃亡に近い。 「、ほんとに1人で大丈夫?」 「あんまり心配されても困る。それに私は団長がちゃんとやっていけるかの方が心配だもの。 後のことはよろしく頼みます、副団長。」 「あんたの代わりにこのすっとこどっこいの御守りなんざまっぴらごめんだ」 「だってさ、頑張りなさい」 次の拠点は地球の予定だ。 既に段取りは整っていて、あとはもう行くだけ。 「…次会う時は私を裏切り者として殺しに来る時かな。 敵さんの顔、ちゃんと覚えておかなきゃね。よく見せてくれる?」 前はそんなに顔を寄せなくても見えたのに 今はぐっと寄せないと表情一つよく見えない 出会った頃はまだちっちゃくて幼くて可愛らしかったのに 「いつの間にそんなに大人になったんだろうね。私の記憶にある神威と全然違うや」 「そりゃガキの頃と同じなわけないよ。お互いにね。」 「それもそうね。副団長も、よく顔を見せてくれる?」 神威から距離を取り副団長のほうに手を伸ばした時だった。 巨体が突然視界から消えた。 と、同時に壁が壊れる音が響いた。 「何してるの?」 「阿伏兎は別にいいじゃん。駄目だよ。オッサンが移る」 「オッサンは移るもんじゃねぇよ、ったく…」 準備をしていた団員が近づいてくる 「準備完了しました、ご確認を」 行き先、江戸。 荷物、燃料、食料、その他諸々、全てよし。 「じゃあ、私は行くね。お元気で」 そう言い残して用意された小型船へ乗り込む。 もう中には誰もいない。たった1人だ。 そして船は動き出す。 広大な宇宙の彼方へと飛び立っていった。 「よかったのか?団長」 「が決めたことだからね。止めたって無駄だろうから」 阿伏兎ははぁ、とため息をついた。 「の視力が悪くてよかったな。そんな情けない面ぁしてたら潔く飛べなかったろうさ」 「うるさいなぁ、阿伏兎。お前にそんなこと言われる筋合いはないよ」 へいへい、じゃあ俺は先に戻るぜ 部屋に残ったのは誰かのすすり泣く声だけだった

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