同情と愛情はとっても似てる

「もう放っておいてよ!」 そう言い残して屋上を飛び出し 学校から飛び出した あてもなくただ池袋の街を歩きながら いろいろな思考が駆け巡る もしかしたら気を遣わせていたのかなと 八つ当たりしてしまってから思った。 静雄はなんやかんやで優しいから。 だからきっとあんなことを言ったのだろう。 そうでなかったとしても、 自分のなかではそうであったということにした。 そうでもしないと気がおかしくなりそうだったからだ。 私は臨也が好きだ。 好きで、それで…。 それは臨也のほうも同じだと思っていた。 勘違いしていた。 バカみたいだ、自分が。 いつも人間全員に愛を叫んでるやつが 私だけ特別だなんてあり得ない。 そんなバカな勘違いをしていた私に 静雄はきっと同情かなにかでもしたのだろう。 歩き続けてふと気づくと また学校まで戻ってきてしまっていた たまたまだ。 偶然だ。 偶然にもそこに、静雄がいた。 「あっ…」 どうしてこんな気まずいタイミングで会ってしまうのだろうか。 なんと声をかけたものか困り 視線を反らしてしまう なんと言えばいい? それともスルーしてしまえばいいのだろうか? ぐるぐるといろんな案が浮かんでは却下される 最近は悩んでばかりだ。 もうなるようになればいい。 私の中でそう結論付けることにした。 とりあえず鞄をとりに教室に戻らねばならない。 静雄の横を通らねばならないので できるかぎりなんでもない風を装って通りすぎる しかしそうはならなかった。 すっと伸ばされた腕はいとも容易く私の腕をとらえ 気づけば静雄の腕の中にいた 「んな辛そうな顔すんなよ」 そういうものだから、私は 「別に、辛くもなんともないし。なにいってるの」 と素っ気なく返す 力任せに腕を振りほどきたいところだが 体格差に加えてあの怪力 到底そんなことできるわけがなかった。 仕方なく離してくれるまでじっとすることにする こうして誰かに抱き締められているのは久しぶりだと感じた。 この間までは毎日のように臨也が抱きついてきて… 私は恥ずかしくて思ってもいないことを言って それでも見透かしたように臨也は笑ってた …もしかしたら、静雄も見抜いちゃってるのかな 同情と愛情はとっても似てる (強がったけれど涙が流れた) (私はどうすればいいの?) (もうなにもわからない) >>