Prayer
暗い部屋に引きこもる毎日。 外に出る気にならないのだ。 食糧なんて殆どなくても生きていける 夜兎だからかどうかはわからないけど 私が子供の時だ 両親を失くしたのは。 あの大きい争いは両親を筆頭にした穏健派と過激派の争いだったらしい 頭だった両親の子供である私が狙われたのは当たり前だ。 当時は何も知らなかったが。 しかしあの時の少年がここに現れなかったら 今の自分はいなかっただろう。 必ず助けに来るから 遠のく意識の中でそんな声が聞こえた気がした 両親もいない。 一歩も外から出たことがないから私の世界は家の中だけ そんな小さな世界に現れた異端児 あの人ならきっと何とかしてくれる。 きっとまた私の前に現れてくれる。 そう信じてこの数年間を生きてきた。 ガタガタッ 立てつけの悪い扉の音が聞こえた。 紛れもなく自分の家のものだが珍しく来客だろうか 部屋の扉をほんの少しだけ開けてみる 人影だろうか? 少しづつこちらに近づいてくるのがみてとれた 誰だろうか? まさか本当に来たのだろうか? そんなはず…。 ずっと期待してはいたものの いざこうなると否定してしまう。 いや、否定しない方がおかしいだろう。 何せ敵だったのだから。 ガンガンと扉が叩かれた 「は、い…」 先程と同じくらいだけ扉を開ける そこには桃色の髪の青年がにこやかに立っていた 「久しぶり、だね。生きててよかった」 少しだけ開けた扉を無理やりに開いて彼は言った 「え、あの…」 「あれ?もしかして覚えてない、かな…」 「いや、そんなことないです。」 手荒ではあったが命の恩人である彼を忘れるはずはなかった。 「よかった。ねえ、俺と一緒に来てくれる?」 「どこに、ですか?」 ろくでもないところに連れて行かれるよりは きっとここにいたほうがまし、そう思った。 「それは内緒」 悪戯っぽく笑ってみせると 無理やり手を取り外へと足を向けた 「ちょ、ちょっと!」 「そういえば、君の名前を聞いてなかったんだけど」 「私?!……。ところでどこに連れてくつもりなの!」 「ね。俺は神威。よろしく」 そんな自己紹介なんかはむしろ後でよかった このまま歩けばあと少しで外にでることになるだろう 「待ってって!私の質問に答えてよ!」 「行くんだよ。外の世界に。いつまでもここにいちゃつまらないでしょ?」 外の世界。 家の外。 つまりはそういうことだ。 私は手を引かれるがまま 外に足を踏み出した Prayer (できないと思ってた) (外に出るなんて) - 4 - << |