Thursday

私、なんでここにいるんだろう 無我夢中で走って 気づけば西口公園にいた とりあえず空いていたベンチに腰をおろす そういえば、鞄教室に置き忘れたままだ。 今ごろは…授業中かな このまま戻るのも悪いし… でも… 一つ溜め息をついてから 重い足取りで学校へと戻る 「おい、お前がか?」 「?はい、そうですけど…」 「臨也のやつがお前にってよ」 渡された鞄は紛れもなく自分の鞄 だが、なぜこの人が? そもそも、不良って雰囲気なんだけど… 「ありがとう、ございます」 こういうときってどうするべきなんだ…? とりあえず、お礼も言ったし、帰っていいのかな? 「あいつになんかされたか?」 「へっ!?べ、別に何もっ…」 言うか言わないか迷ったが、どの道この人は関係ない。 だから言わなかった 「そうか。気をつけて帰れよ」 そう言って来た道を引き返していく 何か忘れてるような気がするのは 私だけだろうか…? 暫く考え込み はっと思い出した そうだ!向こうは私の名前知ってるのに 私があの人の名前知らないっておかしいじゃん! というか、すっごい失礼な気がする 大分離れてはいるものの まだ走れば追いつく距離だ 体力もないし速くもないけどなんとかなるかも 思い立ったら即行動 人と人の間をうまく縫って走る。 「あ、のっ!」 息も切れ 全力で振り絞った声も、あまり大きくはでなかったが それでも、彼は気づいたようで 「どうした?」 「な、名前、聞いてなくて」 少しずつ落ち着きを取り戻しながら言う 「…それだけのために走ってきたのか」 そういうと、クックッと笑い始めた。 「そんなに笑わないでください!」 走ってきたのになんか恥ずかしいじゃないか! 「悪ぃな。今時お前みたいな律儀な奴そう滅多に見ないもんだからよ」 これは、褒められているのだろうか? よくわからないのだけども 「で、名前だったっけか。門田京平だ」 「門田さん、ですね。改めまして、です」 「ああ。じゃあな」 Thursday 小さな出会い

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