『臨也さん臨也さん』 会った時からずっとこうだ。 何かあったら呼んで いろいろ聞いてくる 変わったと言えば呼び名くらいだろう 「今度は何?」 彼女はにこにこ笑ったままだ 「?」 『楽しい時間ってあっという間ですよね。』 何を言い出したかと思えば…。 『だから、すっごく楽しかったんだと思います』 最後だと言わんばかりのその言葉 「…そろそろってこと、かな?」 彼女は小さく頷いた 流石に唐突すぎやしないか 「急すぎない? もう少し早く言ってくれればー…」 『数日前まではすごく迷惑そうな顔していたのに。 不思議ですね』 彼女はくすくすと笑った 今までの無邪気な雰囲気とは違い すぐにでも消えてしまいそうな そんな笑い方だった 事実、もうすぐ消えてしまうのだが。 『短い間でしたがお世話になりました』 彼女は律儀に頭を下げた なんでだろうか 消えてほしくない そう思った。 それは無意識の行動で 気付けば体が勝手に動いていた。 伸ばした手は空をきることなく の頭におかれた。 『!?』 ぱっとは顔をあげたが 何も言わずただされるがままだった。

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