人間さん人間さん どこからともなく声が聞こえた 時間は0時を過ぎたころ 自分以外誰もいないこの部屋で聞こえた。 幻聴か何かだろう。 そう思い、再び画面に視線を戻す。 画面には田中太郎と名乗る人物と セットンと名乗る人物、そして自分の3人の会話が表示されている。 ねえねえ 人間さん人間さん しばらくするとまた聞こえてくる 少女の声。 次は画面から目を話す事もせず スルーし続けてみた。 そうするとまた静かになった。 『ねえ、人間さん』 次ははっきりと 且つ耳元で聞こえた 反射的に振り向くが あるのは夜の新宿の街 そしてうっすらと窓にうつる室内だけだ。 その窓にうつった室内に、一つの違和感。 部屋に置かれた将棋盤の前に 不思議そうな顔をした白い少女が立っていた。 目の錯覚か何かかと思い部屋をみる。 今度はちゃんと少女が存在していた。 「いつからいた」 音も無く現れた少女に対し 警戒して言う 少女は一向に答えようとしない。 「ねえ、話しかけておいて無視かい?」 すると少女は漸く顔を上げ きょろきょろと辺りを見回し始めた。 無論この部屋にいるのは自分とこの少女だけである。 キョトンとした顔をしてから少女は 急ににぱっと笑って言った。 『初めまして、人間さん。 私、通りすがりの幽霊です』

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