大丈夫と言った笑顔は一瞬にして ![]()
帰る場所などない
そうわかっていても少女は一歩も動こうとしなかった
「大丈夫。悪いようにはしないから」
そう言った男は少しだけやわらかい表情をした
そしてグイっと無理矢理少女を立たせた
「君がなんでここに固執するかなんて知らない。でも、ここに居ても何も変わらないんじゃないかな」
この村には善も悪も入り混じった場所
それでもわりと平和な場所だった
「君もわかるはずだ。本当はここじゃなく戦場で生きてかなきゃいけないことを」
少女は否定を続ける
「君の中にもいるはずだ。血を求める獣が」
少女は僅かながら反応した
わかっているのだ。自分もそうだということに
しかしそれを認めようとしないのだ
それに追い打ちをかけるかのように男は言う
「それともこの村さえなくなれば君は一緒にきてくれる?」
少女はその問いに答えなかった
男はまた冷酷な笑みを浮かべた
>>
|