雫、落ちる。

雨が降る 登校時には綺麗に晴れ渡っていた空も 今は鉛色の空に覆われてしまっている 傘を持っていないは 雨に打たれながら帰ることを余儀なくされるわけで そういえば数ヶ月前までは迎えにきてくれる彼がいたなと そう思った 今は遠くに行ってしまってる彼は いったい何をしてるのだろうか 神威はモテるから、私よりかわいい人たちに囲まれてそうだな そんなくだらないことを考えながら 帰路を歩く 『元気、かな…』 視線を下に落とすと 不意に雨がピタリと止んだ 神「元気に決まってるでしょ」 その声は聞き間違えようもなく 愛しい彼の声 『か、神威っ!?』 こんなときに再会するとは これっぽっちも思っていなかったせいもあって 口をパクパクさせるしかできなかった そんな様子をみて ケラケラと笑いながらへらりと言った 神「やっぱりがいなきゃつまんないから帰ってきたんだ」 その言葉はとても嬉しい言葉だった 『でも、そっちだって学校とかあったんじゃ…』 神「そんなこといーの。それとも迷惑だった?」 ちょっと拗ねたように返事を返されると こっちも戸惑う 『そんなことないよ!寧ろ嬉しいっ』 必死に言うをニコニコと笑いながらみていた 半分は完全に聞いていなかったけど 神「」 『?どうしたの?』 不思議そうにたずねてくる その仕草が神威の目には久々の光景で 且つらしくて思わず抱きしめていた 傘は重力に逆らうことなく 二人の横に落ちた 『ちょ、どうしたの?』 は急な行動にわけがわからずにいた 神「彼氏とか、作ってないよね」 『?当たり前じゃん。私は神威一筋なんだから』 自分でも恥ずかしいことを言ったと思う けど、神威はその言葉を聞いて笑みを深くした 神「まあいたとしても、無理やり奪ってたかもしれないけど」 が再び言葉を紡ごうとしたが それはかなわなかった 口を開く前に 神威の唇でふさがれていたから 一つになった影に 雨は止むことなく降り続く 二人は互いに温めあうかのように しばらくの間抱きしめあっていた

*end*

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