馬酔木

「沖田さーん!」 「なんか用ですかィ」 「毎回毎回サボってないでちゃんと仕事しなさいっ!」 「は真面目すぎるんでさァ」 「これが普通なの!」 それは突然だった 「うッ…!」 急に苦しくなって 意識が遠のいていく 「どうしたんでィ、腹でも打ったか?」 「……」 何か変だと感じた沖田さんが声をかけてきた 「おい、大丈夫かィ?」 そのときだった “私”は剣を抜き 沖田さんに斬りかかった あのときと同じように 私は“私”に やめてって呼びかけた 「う゛ァァッ……」 「……?」 急に動きを止め 唸り始めたからか 沖田さんの動きが止まった 「お……きた……さん」 「どうしたんでィ!急に」 「に…げ……て…」 「なに言ってんでさァ」 「おねが……い……」 「そりゃムリな話でィ」 逃げてくれないのなら そう思って 私はこういった 「…きっ………て………」 「っ!?何言ってんでィ!」 それしか方法がない そういう前に また私の意識が遠のいて 再び“私”が戻ってくる 「ちっ……どうなってんでィ」 今のに聞こうとしても 無駄なのはわかってる 「(斬る……か…)」 このまま受け流しているだけでは 埒が明かない、そう思い 一旦から離れた そして一つ深呼吸をして 斬りかかった そのときの動きが一瞬止まったような そんな気がした     ザシュッ 周囲には真っ赤な血が広がり が倒れていた 「っ……」 その姿をみて やりきれない気持ちになった もっと違う方法はなかったのか、と今更ではあるが思った 馬酔木 花言葉は “犠牲”

*end*

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